食いしばりとは、上下の歯を強く噛み合わせてしまう癖のことを指します。
日中の作業中や集中しているとき、または睡眠中など、無意識に行われることが多いのが特徴です。自分では気づきにくいですが、歯や顎に大きな負担をかけてしまいます。

食いしばりの主な原因

ストレスや緊張:精神的な負担が食いしばりの大きな要因になります。

集中時のクセ:デスクワークやスポーツなど、力が入る場面で自然と噛みしめているケースがあります。

噛み合わせの不調和:歯並びやかみ合わせに問題があると、特定の歯に負担が集中して食いしばりを引き起こすことがあります。

睡眠時の無意識の動作:眠っている間の食いしばりは本人が自覚しにくく、気づいたときには歯や顎が痛んでいる場合があります。



食いしばりを放置するとどうなる?

食いしばりは「癖だから大丈夫」と放置してしまうと、歯の寿命を縮める大きなリスクになります。天然の歯だけでなく、インプラント・ブリッジ・義歯といった補綴物にも悪影響を及ぼし、破損や脱落につながることがあります。また、顎の関節に負担をかけ続けることで顎関節症が悪化し、食事や会話にも支障が出てしまう場合があります。

食いしばりによる症状と影響

歯のすり減り・欠け・ヒビ
詰め物や被せ物の破損
顎関節症の発症(痛み・雑音・口が開きにくいなど)
朝起きた時の顎の疲労感
慢性的な肩こり・首こり・頭痛
エラが張るなど顔の輪郭の変化

食いしばりのセルフチェック

噛み合わせが悪化する原因の多くは、私たちが普段何気なく行う習慣にあります。

特に、下記のような習慣のある方は、普段から十分に注意して対策を行っていく必要があるでしょう。

1. 朝起きると顎が疲れている
寝ている間に強く歯を噛みしめていると、顎の筋肉に過剰な負担がかかります。朝起きたときに「顎が重い」「疲れている」と感じるのは、睡眠中に食いしばりをしていたサインです。長期的には顎関節症や筋肉痛につながる恐れがあります。
2. 歯の先端が平らにすり減っている
食いしばりを続けると、歯と歯が強い力で擦れ合い、先端部分が削れて平らになります。歯のすり減りは見た目の問題だけでなく、知覚過敏や歯の破折リスクを高め、寿命を縮めてしまう原因になります。
3. 頬の内側に噛み跡がある
強い食いしばりにより、頬の内側を繰り返し噛んでしまい、白い線状の跡ができます。これは「頬粘膜圧痕」と呼ばれ、慢性的な食いしばりの証拠となるものです。
4. 舌の縁に歯型がついている
舌の側面にギザギザとした歯型が残っている場合、日常的に歯に強く押し付けられているサインです。これは無意識の食いしばりや、舌の圧力による影響で起こります。
5.肩や首のこりが慢性的にある 
顎の筋肉と首・肩の筋肉はつながっているため、食いしばりがあると周囲の筋肉にも負担がかかります。その結果、肩こりや首の痛み、頭痛が慢性的に続くことがあります。歯科治療だけでなく全身の不調にも関係してきます。
6.無意識に「歯を合わせている」ことが多い 
本来、上下の歯はリラックス時にはわずかに離れているのが正常です。しかし、無意識に常に歯を合わせている状態(TCH=Tooth Contacting Habit)は、軽い力でも長時間続くことで顎や歯に大きなダメージを与えます。

食いしばりによる症状と影響

歯のすり減り・欠け・ヒビ
詰め物や被せ物の破損
顎関節症の発症(痛み・雑音・口が開きにくいなど)
朝起きた時の顎の疲労感
慢性的な肩こり・首こり・頭痛
エラが張るなど顔の輪郭の変化



食いしばりの治療法
マウスピース(ナイトガード)
 就寝時に装着することで歯の摩耗や破損を防ぎます。保険適用が可能です。
ボツリヌス治療(ボトックス注射)
噛む筋肉(咬筋)の過剰な緊張を和らげ、食いしばりの力を軽減します。詳しくはこちら
生活習慣の改善指導
日中の歯の位置(TCH=Tooth Contacting Habit)の意識づけや、ストレスマネジメントをサポートします。