子どものいびき・口ぽかんは顎の発育サイン?歯並びと睡眠の質を守る早期対応

大阪府岸和田市の中村歯科です。
「うちの子、口をぽかんと開けて寝ているけど大丈夫?」「いびきをかいているのが気になる」——お子さんの睡眠中の様子を心配される親御さんから、こうしたご相談をいただくことがあります。

実は、お子さんの口呼吸やいびきと顎の発育・歯並びには、科学的な関係があることが研究から明らかになっています。この記事では、顎の形と呼吸のつながり、早期対応のエビデンス、大人のいびきへの歯科的アプローチについてまとめてご紹介します。

いびき

1. 顎が小さいと、なぜ呼吸が苦しくなるの?

眠っているとき、空気は口や鼻からのどを通って肺に届きます。このとき通る「のどの空間」が広ければ問題ありませんが、顎が小さかったり口の天井(上顎)のアーチが狭かったりすると、その空間が物理的に狭くなってしまいます。

すると、眠っているときに舌やのどの組織がその空間に落ちやすくなり、呼吸の通り道をふさいでしまいます。これが「いびき」や「無呼吸」の原因のひとつです。世界各国の研究をまとめた2017年の調査では、いびき・無呼吸のある方はそうでない方に比べ、のどの気道幅が平均1〜2mm程度狭い傾向があることが報告されています。(Neelapu et al., Sleep Med Rev. 2017)

2. いびきが出やすい顎・歯並びの特徴

① 口の天井が高くて狭い(上顎が狭い)

上顎の幅が狭いと、口の天井がドーム状に高くなります。すると鼻の奥の空間も狭くなり、鼻で呼吸しにくくなることがあります。自然と口を開けて呼吸するようになり、それがいびきにつながることもあります。

2004年の研究で、いびき・無呼吸のある方47名とそうでない方47名の口の形を比べたところ、いびき・無呼吸のある方はのどの入り口あたりの空間が有意に狭いことがわかっています。(Johal & Conaghan, Angle Orthod. 2004)

狭窄歯列

② 下顎が小さい・後ろに引っ込んでいる

下顎が後ろに下がっているタイプでは、舌のスペースがのど側に押しやられます。仰向けで眠ると舌が重力で後ろに落ちやすくなり、のどをふさぎやすくなります。

小顎症

③ 受け口・出っ歯などの噛み合わせのズレ

顎の骨格的なバランスが崩れると、舌やのどの組織の位置関係にも影響が出ることがあります。受け口や出っ歯が直接いびきの原因になるとは限りませんが、噛み合わせと呼吸は関連していることが多く、矯正相談の際に呼吸の状態も一緒に確認することが大切です。

出っ歯・上顎前突

3. 子どもの「口ぽかん・いびき」には顎を広げる治療が効く場合がある

お子さんの顎はまだ成長の途中にあります。この時期に対応できると、のどの空間を広げる方向に働きかけられる可能性があります。その方法のひとつが、装置を使って上顎をゆっくり横方向に広げる治療です。

【顎を広げる治療の研究結果】
  • 2017年の調査(世界の17研究・314名のお子さんを対象)でまとめられた結果
  • 夜中の無呼吸の回数が平均で約70%減少
  • 睡眠中の血液中の酸素量が87%から96%に改善
  • 特に口の天井が狭いお子さんで効果が大きかった

(Camacho et al., Laryngoscope. 2017)

「口が開いたまま寝ている」「夜中にいびきをかく」「朝すっきり起きられない」といった様子が気になった場合は、早めに歯科に相談しておくと、その後の選択肢が広がることがあります。乳歯の時期から気になることがある場合も、一度ご相談ください。

4. 大人のいびきに、歯科でできること

大人になると顎の骨は成長が止まっているため、骨を広げる治療は難しくなります。ただし、歯科ではマウスピース型の装置(スリープスプリント)を使った対応ができる場合があります。

この装置は就寝中に口にはめるもので、下顎を少し前に出した位置でキープすることで、舌がのどに落ちるのを防ぎ、呼吸の通り道を確保します。軽度から中程度のいびき・無呼吸に対して複数の研究で効果が確認されており、米国睡眠医学会のガイドラインでも推奨されています。

ただし、症状の重さや歯・顎の状態によって合う方・合わない方がいます。いびきは体質だけでなく、治療で改善できる場合があります。気になる場合は耳鼻科や歯科などへ早めに相談することで、選択肢が広がります。必要に応じて睡眠の専門医と歯科が連携して対応するケースもあります。

5. まとめ

【この記事のポイント】
  • 顎が小さい・口の天井が狭いと、のどの空間が狭まりいびきが出やすくなる
  • 上顎が狭い・下顎が後退しているタイプは特に注意が必要
  • 子どもの場合、顎を広げる治療で無呼吸が約70%改善したという研究がある
  • 大人にはマウスピース型の装置(スリープスプリント)という選択肢がある
  • 「口ぽかん・いびき」が気になったら、耳鼻科や歯科などへ早めに相談することで、その後の選択肢が広がる

6. 医院のご案内

中村歯科(岸和田)
〒596-0042 岸和田市下松町3-5-30
当院では、お子さまの歯並び・かみ合わせ・口呼吸のご相談を承っています。「いびきが気になる」「口をぽかんと開けていることが多い」といったお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。

参考文献

  • Neelapu BC, Kharbanda OP, Sardana HK, et al. Craniofacial and upper airway morphology in adult obstructive sleep apnea patients: A systematic review and meta-analysis of cephalometric studies. Sleep Med Rev. 2017;31:79-90.
  • Johal A, Conaghan C. Maxillary morphology in obstructive sleep apnea: a cephalometric and model study. Angle Orthod. 2004;74(5):648-56.
  • Camacho M, Chang ET, Song SA, et al. Rapid maxillary expansion for pediatric obstructive sleep apnea: A systematic review and meta-analysis. Laryngoscope. 2017;127(7):1712-1719.
  • Lim J, Lasserson TJ, Fleetham J, Wright JJ. Oral appliances for obstructive sleep apnoea. Cochrane Database Syst Rev. 2006;(1):CD004435.

※本記事は情報提供を目的としており、診断・治療の代わりとなるものではありません。症状やお悩みの詳細については、お近くの歯科・医療機関にご相談ください。